Time MachineはpCloudに保存できる?Macバックアップの誤解と正しい併用術

「外付けHDDを買い足すくらいなら、クラウドに保存できれば楽なのに」

Macを使っているあなたが、ふとそう思ったとき――目に留まるのがpCloudのLifetimeプランではないでしょうか。容量を買い切りで使えるこのサービスは、Time Machineの保存先としても使えるのでは?と期待する人も多いはずです。

しかし結論から言うと、pCloudはTime Machineの保存先には指定できません。この点を知らずに契約してしまうと、「思っていたのと違う…」と後悔するかもしれません。

でも安心してください。

pCloudはTime Machineの“代替”にはなれませんが、“補完”としては非常に優秀です。この記事では、pCloudをTime Machineと正しく使い分けながら、Macのバックアップ環境をもっと強く・もっと便利にする方法をわかりやすく解説していきます。

この記事でわかること
  • pCloudはTime Machineの保存先に指定できるのか?という疑問の答え
  • Time MachineとpCloudの技術的な違いと互換性の有無
  • NASはTime Machineの保存先にできるのに、pCloudではできない理由
  • pCloudとTime Machine、それぞれの得意分野と役割の違い
  • Macのバックアップを強化するための併用方法と使い分けのコツ
  • pCloudがバックアップ以外にも役立つクラウドストレージである理由

本記事にある内容は僕が個人的に調査した結果に基づく内容を記載してます。
もし間違いや認識の相違等がある場合はコメントでご指摘いただけると幸いです。

目次

pCloud外付けHDDの代わりに使いたい?その前に知っておきたいこと

pCloudのLifetimeプランが魅力的に見える理由

pCloudのLifetimeプラン(買い切り型)は、「毎月のサブスクが面倒」「できれば一度の支払いで済ませたい」というユーザーに人気です。特にMacユーザーの中には、外付けHDDやSSDを買い足す代わりに、クラウド上にデータを保存できれば場所も取らず、故障リスクもないと考える人も多いでしょう。

実際、pCloudはセキュリティ性・容量・UIのバランスが非常によく、DropboxやGoogle Driveのようなサブスクリプション型クラウドに比べても、コスパの高さが光るサービスです。

Lifetilmeプランについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

 「Time Machineの保存先にしたい」という発想は自然

そうした魅力を知ると、次に浮かぶのが「じゃあ、Time MachineのバックアップをpCloudに保存できたら完璧じゃない?」という発想。

外付けHDDが不要になり、Macの全データがクラウドで管理できる――そんな理想のような環境を思い描く方も少なくありません。

でも実は、pCloudはTime Machineの保存先にできない

でも残念なことに、Time Machineのバックアップ先としてpCloudを指定することはできません。

理由は技術的な制約にあり、pCloudのストレージ構造やドライブマウント方式が、Time Machineの仕様と合わないためです。

つまり、「外付けHDDの代わりにpCloudでTime Machineバックアップを取りたい」というニーズは、そのままでは叶わないということになります。

pCloudを保存先として設定しようとしても。。。
pCloud Driveは認識されない

なぜpCloudにTime Machineのデータを保存できないのか?

Time Machineの保存形式と動作の仕組み

まず前提として、Time MachineはMac全体をスナップショット形式で保存するローカルバックアップ機能です。

バックアップ先には、HFS+またはAPFSでフォーマットされた物理ドライブ、あるいは対応するネットワークディスク(Time CapsuleやSMB共有)を指定する必要があります。

Time Machineは「.backupbundle」や「.sparsebundle」などのディスクイメージ形式で、膨大なデータを継続的かつ整合性を保って書き込む必要があります。高速で安定したランダムアクセス可能な保存先が前提となっているため、外付けHDDやNASのようなローカルストレージが最も適しています。

pCloudの仕組み(仮想ドライブ・同期方式)との技術的な非互換

一方でpCloudは、クラウド上にファイルを保存し、Macでは「pCloud Drive」として仮想ドライブをマウントする仕組みです。

このようにドライブとして認識されています

これは見かけ上ローカルのように見えますが、実際にはクラウドと常時同期を取っている仮想的な領域であり、ファイルの読み書きは通信に依存しています。

そのため、以下のような問題が発生します:

  • Time Machineのような連続的で大量の書き込みに耐えられない
  • ディスクイメージの整合性を保証できない
  • macOS側がTime Machineの保存先としての要件を満たさないと判断して除外している

結果として、pCloudをTime Machineの保存先として指定することはできないという制約があります。

他のクラウド(Dropboxなど)でも同様に制限されている

ちなみにこの制限はpCloudに限った話ではなく、DropboxやGoogle Driveなどすべての一般的なクラウドストレージに共通する制約です。

どれも「Time Machine用の完全なバックアップディスク」としての動作には対応しておらず、代替にできるクラウドは基本的に存在しません

「保存対象」と「保存先」はまったく別の話

ここで混乱しがちなのが、「保存対象」と「保存先」の違いです。

たとえば、pCloudやGoogle Driveの同期フォルダはMacのローカルフォルダと同様に扱われるため、Time Machineの「保存対象」としては含めることができます

バックアップ対象(=保存対象)として認識される

しかし、「保存先」としてTime Machineが求めるのは、

  • ローカルディスクまたは専用プロトコルに準拠したストレージ
  • 一貫したファイルシステムの制御
  • 安定したランダムアクセスと書き込み性能

であり、クラウド型の同期ストレージはこれらを満たしていないため、保存先としては選べません。

補足まとめ

機能名pCloudで可能か理由
Time Machineの「保存対象」に含める可能同期フォルダはMac内に存在する通常のフォルダだから
Time Machineの「保存先」にする不可仮想ドライブであり、必要なファイルシステムを備えていないから

このように、保存「対象」と「先」では根本的な要件が違うことが、誤解の原因になっています。

では、なぜNASはTime Machineの保存先にできるのか?

同じ「ネットワーク経由で接続するストレージ」であるにもかかわらず、NAS(Network Attached Storage)はTime Machineの保存先に指定できます。
これは一見すると、クラウドストレージと同じような存在に見えるかもしれません。

しかし実際には、NASとpCloudのようなクラウドストレージには技術的に大きな違いがあります。

■ NASは「ローカルのファイルサーバー」として動作している

Time MachineがNASを保存先として使える理由は、NASがAFP(Apple Filing Protocol)やSMBといったTime Machine互換のファイル共有プロトコルをサポートしているからです。

これにより、Time MachineはNASをローカルのネットワークディスクとしてマウントし、専用のスパースバンドル形式でバックアップデータを書き込むことが可能になります。

つまり、Macから見てNASは「外部ストレージ」として認識され、直接かつ安定した読み書きができるのです。

■ クラウドストレージは“ファイル転送サービス”の延長にすぎない

一方で、pCloudやGoogle Driveなどのクラウドストレージは、

  • 通信経路がインターネット経由(=ローカルネットワーク外)
  • ファイル単位で同期・転送を行う(=ブロック単位でのランダムアクセスが困難)
  • Macから見たとき、ネットワークディスクとしては機能しない

という点で、Time Machineが求める「一貫性のあるローカル的なストレージ」にはなりえないのです。

■ 結論:NASは「Time Machineを支える仕様に準拠」しているが、クラウドはしていない

特徴NASpCloud(クラウド)
SMB/AFP対応あり(Time Machine対応)なし
LAN内のローカル接続あり(高速・安定)なし(インターネット経由)
ファイルシステム制御可能(ファームウェア側で整備)不可(同期ソフト任せ)
Time Machine対応×

pCloudは便利なクラウドストレージではありますが、Time Machineの保存先に指定できる“本物の外付けストレージ”の代わりにはなりません。

それでもpCloudには、Time Machineとは異なる強みがあります。次の章では、その点に注目していきましょう。

それでもpCloudはMacユーザーにおすすめできる理由

写真・ドキュメントの自動バックアップに強い

pCloudには、Macのローカルフォルダをクラウドと自動で同期・バックアップする機能があります。特定のフォルダを指定すれば、そこに保存したファイルは自動でpCloudにアップロードされ、クラウド上に常に最新版が保持されます。

特におすすめなのが、

  • 書類フォルダ(Documents)
  • デスクトップ(Desktop)
  • 写真フォルダ(Pictures)

など、日常的に編集・更新される重要なデータの保護です。Time Machineのように1時間おきにスナップショットを取るのとは異なり、ファイル単位でリアルタイムにバックアップされるのが特長です。

クラウドに写真やデータをバックアップする具体的な設定手順は、以下の記事で詳しく解説しています。

災害・盗難時にも復元できるクラウドならではの安心感

外付けHDDにTime Machineを保存していた場合、そのHDD自体が故障したり、災害や盗難でMacごと失われると、バックアップごと消えてしまうリスクがあります。

その点、pCloudクラウド上にファイルを保存するため、物理的な損失リスクがゼロ

たとえMacが水没・火災・盗難に遭っても、pCloudにアクセスすればすぐにデータが取り戻せるというのは、クラウドならではの大きな安心材料です。

複数デバイス・ブラウザでも使える自由なアクセス性

pCloudはmacOSだけでなく、WindowsやLinux、iOS、Androidにも対応しており、どの端末からでも同じファイルにアクセスできます。

また、ブラウザからもログインすれば、アプリをインストールしていない環境でもファイル操作が可能です。

これは、Time Machineのようなローカル復元型のバックアップにはできないことです。

例えば、外出先で急に必要なファイルが出てきても、pCloudにログインすれば即ダウンロードできます。

このように、Time Machineと役割が異なるからこそ、pCloudにはpCloudの強みがあるということがお分かりいただけたかと思います。

次の章では、これらをうまく組み合わせた「併用」の方法を紹介します。

Time MachineとpCloud、どう使い分けるべき?

Time Machineは「システムごと元に戻す」ための保険

Time Machineの最大の強みは、macOS本体・アプリ・設定・ユーザーデータを含めて、システム全体をまるごとバックアップできることです。

万が一、macOSが起動しなくなったり、ストレージが故障してMacが使えなくなった場合でも、Time Machineから完全な状態に復元できます。

つまりTime Machineは、「最悪の事態」に備えた最後の砦

この役割は、クラウドストレージでは代替できません。

pCloudは「重要なファイルをクラウドで守る」日常使い

一方のpCloudは、日常的に使う大事なファイルや写真を、いつでもどこでもアクセス可能な状態で保管するのに最適です。

たとえば:

  • 新しいMacに買い替えたとき
  • 外出先で急にデータが必要になったとき
  • 他のデバイス(iPhoneや職場のPC)でもファイルにアクセスしたいとき

このような場面で、クラウドにあるというだけで作業効率が大きく上がり、バックアップの「使いやすさ」においてTime Machineを上回ることもあります。

この2つを組み合わせれば、“何があっても安心”な体制に

Time Machine: システムごと一括復元できるローカルの安全装置
pCloud: 重要なファイルを日常的にクラウドで守る即時性・利便性

このように、両者の役割は重なる部分が少なく、むしろ補完的です。
Time Machineだけでも、pCloudだけでもカバーできない領域があるからこそ、「2段構え」でバックアップ体制を整えることが最も安心な選択と言えるでしょう。

まとめ|pCloudはTime Machineの代わりにはならない。でも“それ以上に使える”理由がある

「pCloudをTime Machineの保存先にして、外付けHDDを買わずに済ませたい」

そう考えるのはとても自然な発想ですし、実際僕もそうしようと思って色々試したりもしました。
pCloudのLifetimeプランは魅力的で、クラウドでバックアップできるならそれに越したことはないと思うのも無理はありません。

しかし現実には、pCloudはTime Machineの保存先には対応しておらず、完全なシステムバックアップを担うことはできません

とはいえ、それだけで「使えない」と判断するのは早計です。

pCloudは、

  • デバイスを問わずアクセス・共有ができる
  • 重要なファイルをクラウドに自動バックアップできる
  • 災害や盗難にも強い

という、Time Machineにはない強みを持ったストレージです。

Time Machineが「もしもの時のための保険」だとしたら、pCloudは「日々の安心と自由」を支える存在です。

この2つを役割に応じて使い分けることで、もっと柔軟で、もっと安心できるバックアップ体制を築くことができます。

あなたの大切なデータを守るために、どちらか一方ではなく、両方を活かす選択肢をぜひ検討してみてください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。それじゃまたね、ばいばいっ!

家族でpCloudを共有する方法や、スマホアプリの活用法も以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

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